「好きな花の名前が言える」社会づくりのためスタートした、「私と花の 10 の物語」プロジェクト。
「あなたの 1 番好きなお花は何ですか?」という質問から、理念をもって活躍する100名の人生を深堀り。
HANANINGENの創始者であるフラワーアーティスト清野光との発芽及び対談を通して、広く社会に向けて新しい価値観を伝えていくことで、それぞれの物語・経験のレンズを通して見る「自然」。
多くの人が改めて自然について考えるキッカケを作り、あなたが蒔いた「気づきの種」がいつかどこかで満開のお花になるように。
なぜ自然の事を話すんだろう? そんなにかわいいお花があったんだ。 地球の未来のこと、少し考えてみるきっかけになりますように。
vol.1 社会活動家 石山アンジュ ×フラワーアーティスト 清野光
Q1 1番好きな花は何ですか?
石山:デンファレです。私の名前、「アンジュ」はフランス語で「天使」という意味なんです。
母が、天使の白いイメージを名前として贈ってくれたことが記憶として残っています。
清野:白いお花を好きな人は、心が透き通っているとか、エレガントなものが好きだとか、いろんなことを言われたりしますね。
敵を作らない「白」の魅力
Q2 白いお花が好き?
石山:自分自身、白が好きということに加えて、実は戦略的に、白をトレードマークとして衣装で着ていることも多いです。
白って、色の中で1番「敵を作らない色」だと言われていて。様々な色には好き嫌いがありますが、白は統計的に嫌いな人が少ないんです。
Q3 他に好きな花はありますか?
石山:パンパスグラスです。パンパスグラスって、花って言っていいですか?
清野:いいです。変わってますよね。
稲がもっと可愛くなって、“秋のお知らせ”みたいな。
自分自身も生態系の一部
コモンズが残る集落と東京の二拠点生活
Q4 現在はどのような活動をしていますか?
石山:私は今、大分と東京の2拠点生活をしています。
大分のお家が、豊後大野市という大分空港から2時間半くらいかかる、山岳地帯にある限界集落というとところで。
空き家バンクから空き家を借りて、校庭くらいの大きさの畑が3つくらいある中で、周りには70代~80代くらいのおじいちゃんおばあちゃんがいて…。
一緒に組合に入って森や山や水を共同管理していて、所謂 “Commons(コモンズ)”がまだ残る地域に住んでいます。
Q5 大分のでの集落での暮らしはどのようなものですか?
石山:大分での暮らしは、「自分が自然の生態系の中のひとつなんだ」と感じることがものすごく多いです。
清野:その生活を目標に生きていて、その土地を選んだんですか?
石山:私のメインの活動の一つである「シェアリングエコノミー」という、企業やあらゆる人たちが、必要としている人とそれを持っている人を繋いで、分かち合い、支え合い、売買したり貸し借りをしたりする古くて新しい概念。
活動の中で追求していく先に、地球そのものが “Commons(コモンズ)”であり、その中でどのようにあらゆるものを共有しながら循環させていくべきか?という疑問に行き着きました。
清野:東京と集落、2拠点生活ギャップってやっぱりありますよね。
石山:大分での暮らしは、自分が生態系の一部だという実感が強く、自分の住んでいる地域は自然が99%、人間が1%という感じなので。
清野:自然の中に、「お邪魔している感じ」ですね。東京に住んでいた時は、虫とかがいたらウワッってなったり…
石山:まさに!(笑)
はじめは、大分で手のひらサイズの蜘蛛がたくさんいたりして、最初は怖かったんですけど。よくよく観察していると、蜘蛛がゴキブリを食べたり…虫や花の生態系の循環が見えてきたりして、「あ、そこに人間が勝手にゴキブリ駆除剤などを使用してはダメなんだ!」とだんだん分かってきました。
あとは、虫自体もよくよく観察すると可愛く見えてきたり(笑)、怖くなくなってきたりして、もう今は排除することはないですね。
清野:共生してるってことですね。やはり「お邪魔している」という気持ちでいるとそういう意識になりますよね。森とか行き始めると。
Q6 アンジュさんのルーツとは?
石山:私は、実家がシェアハウスで、生まれたときから知らない人が家に寝ている、みたいな家で育ちました。自分とは血のつながらないお兄さんお姉さんに育てられた記憶もあります。
いろんな職業の人や、いろんな得意をもった人たちが同じ屋根の下にいて、そういった環境で育ったこともあり、大学に行き、社会人になって、初めてそれが普通のことではない、ということに気が付きました。
Q7 きっかけとなった「気付き」とは?
石山:新卒で入った人材領域の会社で、資本家と労働者という関係性で社会が成り立っていることにすごく違和感がありました。
もう一つは、3.11の災害ですね。スーパーから何も物がなくなってしまった時に、「なんて私は弱い立場なんだ」と。これはサービスというある種、資本主義の中に生きている弱さを痛感しました。
それをどうしたら新しい形で世の中に広めていくことができるか?と思ったのが、24歳の時でしたね。
忘れてしまった共生意識を取り戻したい―
Q8 自然と人間が共生するには?
石山:人と人とが共に生きている、ないしは自然と共に生きているという「共生意識」を私達がもしかしたら忘れてしまっているんじゃないか、ということの方が問題だと感じることが多くあります。
「シェアリングエコノミー」だけではなくて、今、シンクタンクをやっていたり、「拡張家族」という「血縁関係によらない人と家族になりましょう」といって一緒にシェアハウスに住むという活動をしていたり、テレビのコメンテーターをしていたり。
世の中のほとんどの問題というのは、「対立」か「ヒエラルキー」で語られることが多いんですよね。そこで、人は”繋がる”のではなく、既に”繋がっている”いるんだということに気が付きながら、どうやったらこのシェアという精神性を広めることができるかということが、私自身の1番の挑戦であり、大事にしていることですね。
そもそも地球に、「境目」なんてない
Q9 共有(シェア)について
石山:シェア、分かち合うことって、私にとっては境目を無くすということだと思っています。でもそれって、よく考えてみると、そもそも地球には境目なんてないことに気付くんですよね。
拡張家族という、血縁関係によらない人とも家族になりましょう!と言えばやっぱり家族になれるし、実は境界線というのは人間が勝手に認識で作っているだけで、本来は無いんですよね。
それが私にとっては、「シェア」「分かち合う」という言葉でした。
清野:「シェア」という言葉から多様性まで膨らませて、その道を極めにいったんですね。
Q10 自然から学ぶべきことは?
石山:日本的な思想でもあるのですが、実は私とあなたには境界線がないし、個人の私自身も、私というのは私であって私ではないようなものなのではと思っています。自然と向き合っているとよりそう思うんですよね。
自然も人も、全て境界線が無いから、私はあなたであり、あなたは私であるという。そこに目を向けることができたら、実は今言われている分断や孤独の問題って、もっともっと緩やかに緩和していくことができるんじゃないかな、と思います。
清野:最高ですね。
ちょっと早かったらスピリチュアルとも言われてしまう話だけど、元々人間がやってきたことを過去に戻していくだけなので、基本的には原点に戻っているような話ですね。
石山:本当にそう思いますし、そこに気付かされることが多い時代なのかなと思います。
石山アンジュ Anju Ishiyama
https://anjuishiyama.world/
一般社団法人Public Meets Innovation 代表理事
一般社団法人シェアリングエコノミー協会 代表理事
デジタル庁シェアリングエコノミー伝道師
神奈川県横浜市出身。「シェア(共有)」の概念に親しみながら育つ。国際基督教大学(ICU)卒業。大学卒業後、株式会社リクルート入社。ホールディングス化に伴い株式会社リクルートキャリアに転籍。その後株式会社クラウドワークス経営企画室を経て現職。 2016年一般社団法人シェアリングエコノミー協会の立ち上げに関わり、現在はシェアリングエコノミー協会の代表理事を務める。2017年内閣官房シェアリングエコノミー伝道師(現在 デジタル庁シェアリングエコノミー伝道師)に任命。シェアリングエコノミーを通じた新しいライフスタイルを提案する活動を行うほか、政府と民間のパイプ役として規制緩和や政策推進にも従事。政府の委員なども多数務める。
2018年にはミレニアル世代のシンクタンク一般社団法人PublicMeetsInnovationを創設、代表理事に就任。
ほかテレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」や複数の報道番組などでコメンテーター、新しい家族の形「拡張家族」を広げるなど、幅広く活動。著書に『シェアライフー新しい社会の新しい生き方』。
世界経済フォーラムGlobal Future Council on Japanメンバー。株式会社USEN-NEXT HOLDINGS社外取締役。東証一部では最年少女性。(2021年12月時点)
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